えぬのざっかん

アラサーレズビアンの雑感/週末に更新する日記みたいなもの

きゅうじゅうろっこめ

 今週は、ひたすらにシン・エヴァンゲリオンのことを考えていたらあっという間に過ぎ去った。金曜日の仕事終わりに妹と合流して、居酒屋で晩御飯を食べてから、映画館へと向かった。パンフレットはすでに売り切れていた。

 公式からネタバレ感想OKとのお触れが出ていたので、遠慮なく書こうと思う。

 

 以下、ネタバレもあり

 

 

 

 

 

 

 はじめの戦闘シーンはあらかじめYouTubeで見ていたのだけれど、劇場で見るとやはり迫力が全く違った。映像も音も違って感じるくらいだった。

 基本よく分からないままに見ていたので、2回目にしてやっと、なるほど、となった部分も多々あった。

 

 気力を失ったシンジが、父親を喪った時のミサトとダブる。シンジとミサトは、似た者同士だったのだなとようやく気付いた。まだまだ知らないことがたくさんあって、追いかけたい書籍やゲームが多すぎる。

 アスカも作られたモノだという発言にはすごくびっくりしたし、なんで??? えっ??? となって、序からどころか、テレビシリーズから見返さないとダメなやつだなとあらためて思う。

 ヴィレの緊迫した雰囲気と反して、第三村ののどかな光景は、落差が大きすぎて気持ちの整理が追い付かないところもあった。碇君がエヴァに乗らなくていいようにする、と言ったのほうになじみがあるのに、そっくりさんが可愛すぎてちょっとテンパりもした。綾波があんなにストレートにかわいいのずるくないか???

 猫のおなかが膨らんでいるシーンから、しばらくして子猫が生まれていることで、穏やかに時間の経過が描かれている。こんなに穏やかなエヴァも初めてだなと思った。なおさらヴィレとの乖離が顕著になって、シーンが切り替わるたびに気持ちが引き締まる。

 

 ……なんかもうめんどくさくなってきたからミサトのことばっかり書くね。ミサトとリツコ大好きな百合好き視点。あとシンジとミサトの疑似親子感も好きなの。

 

 破の「行きなさいシンジ君! 誰かのためじゃない、あなた自身の願いのために!」に至るまでを見てから、Qを見たのがまるまる10年ぐらい空いていて、正直どうしてああなったのかはっきりと覚えていない。

 なおさら、Qでいきなり豹変したミサトの印象が強かったから、今回はどうやってシンジと向き合っていくのだろうと思っていた。

 ミサトのかぶっている艦長の仮面はひどく分厚く重く、リツコと二人きりの時ですらなかなか外されなかったのにやきもきしながら、スクリーンを見つめていた。リツコの前なんだから素直になればいいのに、と何度思ったことか。

 お互いの言葉尻を捕らえたやりとり、オタクの好きなやつ。よくわかっていらっしゃると思うとともに、こういう関係性ほんとうらやましいな……って気持ち的に真顔になった。

 

 実の息子にも、義理の息子とも言えるシンジにもかたくなに会おうとしなかったミサトが、やっと会うことになったのが一皮もふた皮も剥けたシンジで、シンジを信頼して背中を押し出したミサトの気持ちの強さに、今書きながら思い浮かべて泣きそうになっている。

 シンジをかばって撃たれたミサトに、旧劇のあのシーンが真っ先に思い出された。ろくに知識のない中学生にディープキスかまして帰ってきたら続きをしましょうじゃねえんだよと、思い出すたびにぷりぷり怒っていたのだけれど、今回の穏やかに抱き合って、行ってきます、行ってらっしゃいとまるで普通に出かける前のようなやり取りをしている二人を見て、やっと気持ちを落ち着かせることができた。

 とは言っても、前にこれやっとけや!!! という怒りもなくはなかったけれど。

 

 一人ですべてを引き受けて、シンジのために槍を送り出そうとするミサトは、まぎれもなく艦長で、保護者で、母親で、姉だった。ばさりと髪をほどいたミサトを見た瞬間に、ぶわっと涙があふれ出た。ちょこちょこと荒っぽい口調が漏れ出てうれしかったのだけれど、ここで一気に来てしまった。

 またこの人は助からないのだなという悲しい気持ちとともに、それでも今回は加持との子供もいるし、子どもたちのこれからが明るいことを完全に信じているあの顔を見ていると、本当に観てよかったと噛み締めざるを得ない。

 

 シン・エヴァンゲリオンはシンジによる救済だった。シンジはあっという間に大人になって、自分の落とし前をきっちりとつけ終えてしまった。父親すら救ってしまった。まさかこんなに強い少年になるとは思ってもみなかった。

 ラスト、マリとともに駆け出していくシンジが、底抜けに明るい顔をしていて、ああ、終わったんだなあとすとんと納得がいってしまった。

 待つ楽しみがなくなってしまったなあとか、空白の14年間のどこかを作品にしてほしいなあとか、いろんなことは思うのだけれど、きれいに終わってくれてよかった、という気持ちが一番大きい。

 

 シン・エヴァンゲリオンを観て、葛城ミサトはやはり私のあこがれの女性だなとひしと感じた。

 明るくて、お酒にだらしがなくて、強気で、これと信じたことは叶えてしまう引きの強さを持っていて。ここに至っては、母親になって、あんなに柔らかい顔をするようになっていた。

 大人の女性が好きなのに、リツコじゃなくてミサトが好きなのはなんでなんだろうと思っていたのだけれど、包容力と母性を薄々感じ取っていたからなのかもしれない。

 

 これから、この先のミサトのストーリーを期待することはできないけれど、この映画で十分に楽しませてもらった。しばらくの間、私はエヴァに浸りながら生活するだろう。来週の舞台挨拶の回のチケットが取れたらいいなと思いながら、穏やかなミサトの顔を思い浮かべている。