えぬのざっかん

アラサーレズビアンの雑感/週末に更新する日記みたいなもの

はちじゅっこめ

 恋活を始めて一年ぐらい経ったと思う。定期的に書き込んでいる掲示板とは違うところを見つけて、よくあるような書き込みに返信をしたのが縁になって、恋人ができた。
 知り合ってから付き合うまで、二週間もしなかった。

 ずっと一人で苦しい思いをする片想いばかりしてきたから、恋愛ってこんなに安心するものなんだな、とひしひしと噛みしめている。

 

 特に特徴のない、シンプルな書き込みに目を惹かれて、メッセージを送ったのがきっかけだった。メールを数通やりとりして、すぐにLINEに移行して、早々に会う約束を取り付けた。

 フィーリングが合うというのはこういうことを言うんだろうかと思った。相手が私を気にかけてくれているのは、やりとりの端々からよく分かっていた。興味を持ってもらえていると分かっていると、私も相手のことが気になっていく。

 趣味や大まかな経歴やらが近しくて、やりとりの距離感も気楽で、気がつけば私も早く会いたいなと思うようになっていた。

 

 実際、会ってみると本当に気楽に話せて、変に気を遣うこともなくて、この子と一緒にいたら楽しいだろうな、安心できるだろうなと腑に落ちた。

 LINEの一言欄には、恋愛は受け身と書いてあったし、一つだけとは言え私の方が年上だし、私から切り出さないと、中途半端な関係性のまま終わってしまうだろうと思った。高級食パンの店でそれぞれ一斤買い求めて、じゃあそろそろ駅に、となって、ガチガチに緊張しながら話を切り出した。

 

 大丈夫だという安心感がどことなくある告白は、これが初めてだった。アーケード街を抜ける直前に、なんともムードのないところで、付き合って下さいと告げた。

 果たして、気持ちの上では初めて、恋人ができた。

 別れ際、バイバイと手を振ってやんわりと手をにぎり合ったとき、手が冷たいとずいぶん驚かれてしまった。それぐらい緊張していたと告げたとき、彼女はどんな反応をしただろうか。現実味がなくて、その辺りのことははっきりとは覚えていない。

 

 恋人同士になってから一週間が過ぎようとしている。仲良くなっても代わり映えのしないやりとりに、気負いすることなく会える、次の予定が増えた。よく食べてよく眠る彼女と今度会えるのは、十二月に入ってからになる。それまでの間、何気ないやりとりと、彼女の飼っている猫たちの話を楽しんで過ごそうと思う。